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特集 脂質制御因子SREBPの新展開
ビタミンD誘導体による選択的SREBP-SCAP阻害作用
Selective SREBP/SCAP inhibition by vitamin D derivatives
橘高 敦史
1,2
Atsushi KITTAKA
1,2
1帝京大学薬学部医薬化学講座薬化学研究室
2早稲田大学理工学術院
キーワード:
ビタミンD
,
SREBP抑制
,
脂肪肝
,
ビタミンD受容体(VDR)
Keyword:
ビタミンD
,
SREBP抑制
,
脂肪肝
,
ビタミンD受容体(VDR)
pp.1033-1038
発行日 2024年12月14日
Published Date 2024/12/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291111033
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25-ヒドロキシビタミンD3(25(OH)D3)がSREBP-SCAP複合体に結合し,SREBPをタンパク質分解へと導くことが報告された.この作用は,活性型ビタミンD3(1α,25(OH)2D3)がビタミンD受容体(VDR)を介して働くホルモン様作用とは大きく異なり,SREBP分解をin vitroで観察するには数μMの濃度を必要とする.25(OH)D3は1α,25(OH)2D3の1/500程度と弱いながらもVDRリガンドとして機能するため,SREBP抑制を目的にマウスに25(OH)D3を高用量で連日投与すると,重篤な高カルシウム血症を引き起こして短命に終わる.筆者らは,25(OH)D3のA環部を大きく構造変換し,VDR作用を示さずSREBP-SCAP系に選択的に作用する小分子群を取得した.ビタミンD3の責任代謝酵素CYP24A1への代謝抵抗性向上を意図し,側鎖部にフッ素原子導入を行い,高選択的にSREBP阻害活性を示し,かつ病態モデルマウスで毒性なく脂肪肝形成に対する抑制効果を示す新規ビタミンD誘導体KK-052(10mg/kg/day)を見出した.VDR作用のないSREBP-SCAP系への高選択的な阻害は,脂肪肝,脂質代謝異常症,がんなどの疾患において治療薬の開発につながる可能性が期待される.
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