Japanese
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特集 好酸球細胞外トラップと疾患―― “エフェクター細胞” の新しい視点
慢性副鼻腔炎における好酸球の役割
Relation between eosinophils and chronic rhinosinusitis
安部 友恵
1
,
宮部 結
1
Tomoe ABE
1
,
Yui MIYABE
1
1秋田大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
キーワード:
慢性副鼻腔炎
,
好酸球
,
細胞外トラップ(ETs)
,
ガレクチン-10(Gal-10)
Keyword:
慢性副鼻腔炎
,
好酸球
,
細胞外トラップ(ETs)
,
ガレクチン-10(Gal-10)
pp.187-190
発行日 2024年10月19日
Published Date 2024/10/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291030187
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慢性副鼻腔炎のうち,1990年代以前に大半を占めていた好中球性副鼻腔炎は抗菌薬治療や内視鏡下手術の発展により減少傾向となり,一方で好酸球性副鼻腔炎(ECRS)が増加している.鼻副鼻腔に多発する鼻茸や粘稠度の高い分泌物(好酸球性ムチン)の貯留は鼻閉・嗅覚障害をきたし,患者のQOLを著しく害する.保存的加療に抵抗性でしばしば外科的介入を要し,易再発性・難治性であることから,厚生労働省が定める指定難病に指定されている.鼻茸組織や好酸球性ムチンには多数の好酸球が遊走・集積し,一部はETosisを生じ,崩壊好酸球や遊離顆粒,核由来の細胞外トラップ(ETs),細胞質タンパクが沈着する.好酸球ETsはその形態学的特徴から病原体捕捉に有効である一方で,粘液の構造的安定性を支持し,好酸球性ムチンの高い粘性に寄与する.現在,慢性副鼻腔炎の治療としてETosisに関与する2型サイトカインを標的とした抗体薬が実用化されており,今後はさらに多方面からの新規治療薬の開発が期待される.
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