Japanese
English
TOPICS 免疫学
腹膜脂肪リンパ組織に存在する細網線維芽細胞の機能
Immunological functions of fibroblastic reticular cells in the omental milky spots
岡部 泰賢
1
Yasutaka OKABE
1
1大阪大学免疫学フロンティア研究センター恒常性免疫学
pp.859-860
発行日 2024年3月9日
Published Date 2024/3/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28810859
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腹腔免疫に中心的な役割を担う大網乳斑
腹腔は,胃,脾臓,肝臓,腸菅などの内臓を収納する身体で最も大きな体腔である.通常,腹腔内は無菌的に保たれる一方,穿孔性虫垂炎,肝硬変,膵炎,腹部手術,腹膜透析などを原因として腹腔内に感染が起こると,敗血症の進行に伴う多臓器不全により命を落とす危険が生じる.腹腔内臓器のひとつである「大網」とよばれる胃からエプロン状に垂れ下がる内臓脂肪は,腹腔内の感染の波及を防ぐ役割があり,腹腔内の感染防御に中心的な役割を担うと考えられている.大網は一般的な脂肪組織とは異なり,「大網乳斑」とよばれる白血球集積構造がヒトでは100個以上,マウスでは最大で80個ほど点在する.その構造・機能は二次リンパ組織と多くの類似性を有し,大網乳斑は腹腔内の異物に対する免疫応答の場を担うリンパ組織として機能することが報告されている.
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