Japanese
English
連載 医療システムの質・効率・公正――医療経済学の新たな展開・Vol.23
くすりの費用対効果・価値評価
-――認知症抗体薬の評価とともに
Cost-effectiveness and value evaluation of drugs
――With evaluation of antibody drugs for dementia
五十嵐 中
1
Ataru IGARASHI
1
1横浜市立大学医学群データサイエンス研究科,東京大学大学院薬学系研究科
キーワード:
費用対効果評価
,
価値評価
,
薬価
,
価値に基づいた価格(VBP)
,
擬似的定量化
Keyword:
費用対効果評価
,
価値評価
,
薬価
,
価値に基づいた価格(VBP)
,
擬似的定量化
pp.598-606
発行日 2024年2月17日
Published Date 2024/2/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28807598
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Summary
本稿では,費用対効果評価で “できること” と “できないこと” の切り分けと,さらに,費用対効果評価と価値評価の間にあるものを紹介する.費用対効果評価,あるいは狭義の医療技術評価(HTA)の考え方が浸透してきた分,果たすべき役割が過大評価されるケースも散見される.HTAの結果としての価格引き下げと,巨額再算定のような既存の薬価ルールのなかでの引き下げを比べたら,実質的なインパクトは後者の方が大きい.しかしHTAでの引き下げは,「日本において費用対効果に劣ると判断された」という事実のみが海外に伝わる,いわば風評被害のリスクを孕む.また,値段が下がることは短期的にはメリットになりうるが,中長期的にはドラッグロスの問題を引き起こす.多面的な価値を評価しつつ,メリハリをつけた薬価制度・医療保険制度をどのように構築していくかを,十分に議論していくことが望まれる.
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