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第5土曜特集 内視鏡医学のすべて――各領域における診断・治療の進歩
産科婦人科
子宮頸癌の内視鏡手術
-――現状と将来展望
Minimal invasive surgery for cervical cancer
――Current status and the future perspectives
京 哲
1
Satoru KYO
1
1島根大学医学部産科婦人科学教室
キーワード:
子宮頸癌
,
広汎子宮全摘術
,
低侵襲手術
,
内視鏡
Keyword:
子宮頸癌
,
広汎子宮全摘術
,
低侵襲手術
,
内視鏡
pp.1190-1196
発行日 2023年9月30日
Published Date 2023/9/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu286141190
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子宮頸癌に対して行われる根治手術である広汎子宮全摘術の歴史は古く,1928年に京都大学の岡林博士により系統的術式が発表され,現在に至るまで基本術式となっている.近年,鏡視下での広汎子宮全摘術が行われるようになり,腹腔鏡下広汎子宮全摘術が先進医療Aを経て2018年に保険適用となった.しかし,ロボット支援広汎子宮全摘術は先進医療Bを経たものの,現時点で保険収載には至っていない.2018年に発表された鏡視下手術と開腹手術のランダム化比較試験(LACC trial)では,鏡視下手術の予後が開腹手術に比べて明らかに悪いことが報告され,世界中の婦人科腫瘍医が衝撃を受けた.鏡視下手術の予後が悪くなる要因として技術的な習熟度のほかに,気腹圧で助長されるcancer cell spillageの問題が指摘され,その対策として子宮マニピュレーターの不使用,腟カフの形成による癌病変の被包化,リンパ節や摘出子宮を袋に入れてからの取り出しなど,さまざまな工夫が試みられている.国内外でこれらを踏まえた新たな臨床試験が立ちあがり,鏡視下手術の新たなエビデンスの構築が望まれている.
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