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特集 HFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)の病態と治療
HFpEFと右室・肺動脈カップリング
Importance of right ventricular-pulmonary arterial coupling for patients with HFpEF
中川 彰人
1
Akito NAKAGAWA
1
1医療法人彰々会中川内科院長,大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学・医療情報学招へい教員
キーワード:
心不全
,
心臓超音波
,
右心機能
,
層別化
Keyword:
心不全
,
心臓超音波
,
右心機能
,
層別化
pp.1049-1054
発行日 2023年6月17日
Published Date 2023/6/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu285121049
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HFpEF(左室駆出率が保たれた心不全)患者は増加の一途をたどっているが,有効性の確立された治療手段は限られており,その対策は喫緊の課題である.HFpEFの患者層は高齢かつさまざまな併存疾患を抱えることが多いため,なんらかの基準をもとに層別化し,効率的な治療戦略を立てる必要がある.心不全では左室駆出率に沿った分類が一般化されてきたが,右室機能も心不全の重要な構成要素であることは見逃されがちである.心室・動脈カップリングは心臓のエネルギー効率の指標となるが,右室収縮能は三尖弁輪収縮期移動速度(TAPSE)から,肺動脈特性は肺動脈収縮期圧(PASP)から心臓超音波検査を用いて非侵襲的に評価することができ,TAPSE/PASP比は右室・肺動脈カップリングの代替指標となる.TAPSE/PASP比は運動耐容能だけではなく予後推定の強力な指標となることが知られており,それは日常診療でみられるHFpEF症例にも当てはめることができる.本稿では,右心機能に焦点を当てたHFpEFの層別化,治療戦略について論じたい.
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