Japanese
English
特集 エムポックス(サル痘)の疫学・感染経路・症状・診療指針
はじめに
Introduction
氏家 無限
1
Mugen UJIIE
1
1国立国際医療研究センター国際感染症センター
pp.647-647
発行日 2023年5月13日
Published Date 2023/5/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28507647
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- Abstract 文献概要
新興・再興感染症の用語は,1992年にアメリカ大統領府が “感染症への警告” の発表の中ではじめて使用したとされる.エムポックスは,1958年にコペンハーゲンの研究所でカニクイザルから発見されたことから “サル痘” と命名され,ヒトでの感染例は1970年にコンゴ民主共和国ではじめて報告されている.2022年5月からアフリカから欧米各国へ流行が拡大し,同年7月にはWHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(public health emergency of international concern:PHEIC)を宣言した6つ目の疾患(宣言は7回目)となった.この古くて新しい感染症であるエムポックスは,新興・再興感染症の典型であるといえ,その流行の背景は1980年以降の天然痘対策の中止,ウイルスの遺伝子的変化,動物との接触機会の増加,国際的な交通網の発達,顧みられない感染症への不十分な対策,感染症に対する偏見や差別など,他の新興・再興感染症と同様に,古今東西のさまざまな要因が密接に関わりあっている.
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