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第1土曜特集 HIVの発見から40年――医学はどう戦ったか,これからどう戦うのか
HIV/AIDSとその治療の新展開
HIV感染症の治療の原則とその進展
The principles of antiretroviral therapy for HIV infection and its progress
白阪 琢磨
1
Takuma SHIRASAKA
1
1国立病院機構大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター
キーワード:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
,
後天性免疫不全症候群(AIDS)
,
抗HIV療法
,
多剤併用療法
,
長時間作用型注射剤
,
カプシド阻害薬
Keyword:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
,
後天性免疫不全症候群(AIDS)
,
抗HIV療法
,
多剤併用療法
,
長時間作用型注射剤
,
カプシド阻害薬
pp.648-656
発行日 2023年3月4日
Published Date 2023/3/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28409648
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1981年に世界ではじめて米国で後天性免疫不全症候群(AIDS)が報告され,1983年にその病原体であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)が発見され,1985年には世界初の抗HIV薬であるジドブジン(AZT)が発明された.それから約40年でHIVの3つの酵素の阻害薬が次々と開発された.当初の開発の主眼は優れた抗ウイルス効果にあったが,困難な服薬,多い副作用,さらに薬剤耐性変異株の出現など多くの課題があった.その後,優れた効果と安全性に加え,服用方法,服用回数,剤形など製剤開発の工夫も多くなされ,現在では良好な抗ウイルス効果を示し,副作用もほとんどない1日1剤の配合錠が珍しくなくなった.治療の進歩によって,かつて不治で致死であった病から治療のできる慢性疾患となった.さらに良好なウイルス量が未検出(undetectable)な陽性者からは性行為での感染もないといえるまでになった.現在も,3剤療法から2剤療法,1日1回から長期作用型薬剤など,まだまだ新規薬剤の開発は続いており,研究レベルだが治癒薬の開発も進められている.本稿では,HIV感染症の治療の変遷および基本原則と,その進展について述べた.
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