薬物相互作用ガイドライン -――策定の背景と国際調和に向けた最新の動向

Drug Interaction Guideline ――Background and recent trends toward international harmonization

　薬物相互作用は，薬物の生体内挙動や薬効・副作用に影響を及ぼす併用薬物間，また薬物と飲食物や嗜好品との間に生じる現象である．医薬品開発段階で薬物相互作用に関する検討を行い，臨床現場でのリスク最小化に資する情報を提供するために，各国・地域で規制文書が作成されてきた．近年，医薬品規制調和国際会議（ICH）の活動において，薬物相互作用評価のための規制文書の調和をはかる取り組みが進められ，薬物代謝酵素やトランスポーターを介した相互作用の検討アプローチ，結果の解釈，臨床におけるリスク評価と管理方法を中心としたガイドラインのドラフト版が公表された．ICHガイドラインの策定により，薬物相互作用の評価方法が世界的規模で標準化され，医薬品開発および薬物療法の適正なマネジメントの実践につながることが期待される．