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第5土曜特集 循環器病学の未来──基本計画から考える循環器病学のグランドデザイン
循環器病におけるゲノム・オミックス研究の将来展望
周産期心筋症に遺伝子変異は関与するのか
Do genetic variants contribute to the onset of peripartum cardiomyopathy?
神谷 千津子
1
Chizuko A. KAMIYA
1
1国立循環器病研究センター産婦人科部
キーワード:
周産期心筋症
,
拡張型心筋症
,
妊娠
Keyword:
周産期心筋症
,
拡張型心筋症
,
妊娠
pp.1217-1222
発行日 2022年12月31日
Published Date 2022/12/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283141217
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周産期(産褥性)心筋症は “妊産婦” 以外に疾患特異項目がない除外診断病名であり,現時点ではheterogeneousな疾患群の総称である.当初,病態が拡張型心筋症に類似していることから,潜在していた拡張型心筋症が妊娠・出産の循環負荷により顕在化したものという意見があった.しかし,同年代女性における拡張型心筋症の発症率よりも高率に妊産婦に発症し,全体的な経過・予後が異なるため,妊娠自体が発症に関与している別な病態と結論づけられた.一方,家族性発症の家系において,拡張型心筋症と共通した遺伝子変異を認めた報告や,周産期心筋症患者における国際共同遺伝子研究において,全コホートの10~20%に拡張型心筋症関連遺伝子のバリアントを認めるなどの報告があり,遺伝的観点から両心筋症はオーバーラップしていると考えられる.本稿では,heterogeneousな疾患背景のなかの “遺伝的背景” について,これまでの知見を解説する.
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