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新たな機能性分子を合成する手法 “クリックケミストリー”
-――2022年ノーベル化学賞によせて
清川 慎介
1
,
安田 大輔
2
,
生長 幸之助
3
Shinsuke SEGAWA
1
,
Daisuke YASUDA
2
,
Kounosuke OISAKI
3
1香港科技大學化学生物工学研究科
2大阪医科薬科大学薬学部医薬分子化学研究室
3産業技術総合研究所触媒化学融合研究センター
pp.1173-1175
発行日 2022年12月24日
Published Date 2022/12/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283131173
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筆者らは有機化学者として材料化学やケミカルバイオロジーといった,有機化学を基盤とした学際的分野で研究してきた.そこでは,化学をバックグラウンドに持たない生物学者,材料科学者たちにとって如何に有機化学合成がとっつきにくいものであるかを実感する.従来複雑な骨格を持つ医薬・天然物分子などを合成することを目指し生み出されてきたさまざまな有機反応は,有機溶媒の使用,加熱,時には脱気を前提としているため,専用の設備や熟達した腕が必要となる.加えて,それらの反応の成功率は作りたい分子に依存し決して高くなく,トラブルシュートに必要となる専門知識は膨大である.このプロトコル化できない科学領域が他分野から忌避されるのは納得できる.
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