Japanese
English
TOPICS 病理学
センチメートル規模の視野をマイクロメートルレベルの空間分解能でワンショット観察可能なトランススケールスコープ
Trans-scale scope for one-shot observation of centimeter-scale fields of view with micrometer-level spatial resolution
永井 健治
1,2
,
市村 垂生
1
,
垣塚 太志
2
Takeharu NAGAI
1,2
,
Taro ICHIMURA
1
,
Taishi KAKIZUKA
2
1大阪大学先導的学際研究機構超次元ライフイメージング部門
2同産業科学研究所生体分子機能科学研究分野
pp.728-729
発行日 2022年11月12日
Published Date 2022/11/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28307728
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近年,細胞集団のなかに存在するまれにしか見出されない細胞が生命システムに大きな影響を及ぼすことが知られるようになった.たとえば,血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells:CTC)は血液1mLあたりに含まれる数十億個の血球に対して,1個程度しか存在しないと推定されているものの,それががんの転移に寄与し,生命システムを破壊して個体を死に至らしめる1).このような希少細胞をターゲットとして研究するためには,非常に多くの細胞を同時に観察し,個々の細胞が多細胞システムのなかでどのようにふるまうかを観察することが必要となる.しかしながら,従来の生物顕微鏡は,レンズのサイズや観察用カメラの画素数に制約があり,上記の解析は困難であった.具体的には,細胞の蛍光観察で広く用いられる2K-CMOSカメラ(400万画素程度)を用いた場合,2倍の対物レンズを使えば視野は約1.00cm2で分解能は約6.5μm,40倍の対物レンズを使えば視野は約0.05cm2で分解能は約0.3μmが得られるが,前者では細胞を十分に分解できず,後者では視野が十分ではない.したがって,これまでの常識に縛られない,新しいイメージング法が必要となる.
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