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はじめに
厚生省特定疾患,すなわち,いわゆる難病には大きく分けて2つの問題点がある.その一つは疾病の原因が不明であり,そのために根本的な治療方法が確立されていないもの,他の一つはその治療がきわめて困難で,その直接の,または合併症のために生命の危険におびやかされるか,たとえ長期生存が可能であっても日常生活や社会生活が著しく制限されるものである.
このような基礎概念とリハビリテーションという医療体系の中での思想と技術をどう組み合わせてゆくかは,多くのいわゆる難病ひとつひとつの病像によって異なってくる.各難病間共通の問題として取り上げられているものに看護があるが,これはその普遍性と内容の広範性ということからあらゆる難病を貫いて実行されるものである.しかし,リハビリテーションはこれとやや趣を異にするので,今のところ,公の研究班としては神経・筋疾患のリハビリテーションの研究にとどまっている.
さて,ここでのテーマである呼吸器系難病の一つである(呼吸器系難病としてはこの外にサルコイドージス――これは全身病であるが呼吸器系に病変がよくみられる――,と原発性肺高血圧症がある)肺線維症は,先に述ぺた神経・筋疾患のリハビリテーションには全く相入れない問題点を持つ疾患であり,そのリハビリテーションは,自ら本疾患の特異性を考えて確立してゆかねばならない.かつての肺結核やいわゆる閉塞性肺疾患(慢性肺気腫,気管支喘息,慢性気管支炎,喘息性気管支炎)についてはかなりの文献1,2)もあり,また整理されているが,肺線維症自身が学問的に体系づけられつつあり,ある意味では最近の疾患であるので,そのリハビリテーションを独立して取り扱った文献も私の目のとどく範囲ではないので,まずこの疾患そのものを紹介し,その持っている問題点とリハビリテーションとの関係について述べることにする.
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