今月の主題 結核
トピックス
結核の感染防止対策
桑原 克弘
1
Katsuhiro KUWABARA
1
1国立病院機構西新潟中央病院呼吸器科
キーワード:
院内感染
,
QunaiFERON®TB-2G
,
N95マスク
Keyword:
院内感染
,
QunaiFERON®TB-2G
,
N95マスク
pp.1161-1164
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101729
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1.結核院内感染の現状と背景
結核は診断・治療法の進歩とともに減少してきたが,いまだに日本の罹患率は欧米先進国の2倍以上である.職場感染が劇的に減少していることに対し,医療現場での院内感染の減少は緩やかで相対的に危険性が高まっている.その要因として,結核罹患率の低下で若年者の多くが未感染で免疫が弱い,受診遅延による重症化,医師の経験不足による診断遅延,気管支鏡・人工呼吸などのエアロゾルの飛散を伴う処置の増加,気密度の上昇などが挙げられている1).そして戦中・戦後の結核高蔓延時代を経験した高齢者の著しい増加が医療や介護の現場での結核感染を減少させられない大きな要因であり,高齢者間でも再感染により集団感染がおきるえることも証明されている2).また,先進医療を行っている中核病院で院内感染が起きると免疫低下患者が多いこともあり接触患者や職員に対し広範囲で長期の検診・観察を余儀なくされ病院のダメージは大きい.結核院内感染対策の基本は結核菌の除去,密度の低下,吸入結核菌数の減少,発病の早期発見・予防であり健康管理と施設・環境整備に分けて解説したい.
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