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特集 腫瘍と糖鎖――糖鎖の基礎研究から腫瘍の分子標的同定に向けて
免疫チェックポイント分子としてのSiglecファミリーとその腫瘍免疫への関与
Siglec family as novel immune checkpoint molecules:their involvement in tumor immunity
安形 高志
1
Takashi ANGATA
1
1中央研究院生物化学研究所(台湾)
キーワード:
Siglec
,
シアル酸
,
腫瘍免疫
,
免疫チェックポイント
,
don’t eat meシグナル
Keyword:
Siglec
,
シアル酸
,
腫瘍免疫
,
免疫チェックポイント
,
don’t eat meシグナル
pp.902-906
発行日 2022年5月28日
Published Date 2022/5/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28109902
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Siglecは膜貫通受容体タイプの糖鎖認識タンパク質のファミリーである.Siglecは主に免疫細胞に発現し,細胞表面のシアル酸を含む糖鎖を認識して免疫細胞内にシグナルを伝達する.近年,Siglecが腫瘍免疫の制御に関与することを示唆する知見が得られている.その作用機構としては,Siglecがキラー細胞上の免疫チェックポイント分子あるいはマクロファージ上のdon’t eat meシグナル分子として働くこと,あるいはSiglecがT細胞上の受容体を介してT細胞活性を抑制することなどが考えられている.これらは主に基礎研究レベルでの知見であるが,Siglecまたはそのリガンド分子を標的とする中和抗体(免疫チェックポイント阻害薬に相当)をはじめ,臨床応用に向けた研究も進められており,一部の抗体は臨床治験に供されている.今後の基礎・臨床両面での研究の進展が期待される.
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