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特集 肝硬変は治るか? 組織改築改善・研究の最前線
【臨床】
門脈系血行動態の改変による肝線維化改善の可能性
Improvement in hepatic fibrosis by modification of portal hemodynamics
石川 剛
1
,
高見 太郎
1
Tsuyoshi ISHIKAWA
1
,
Taro TAKAMI
1
1山口大学大学院医学系研究科消化器内科学
キーワード:
肝硬変
,
門脈圧亢進症
,
血行動態
,
肝線維化
,
バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)
Keyword:
肝硬変
,
門脈圧亢進症
,
血行動態
,
肝線維化
,
バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)
pp.803-806
発行日 2021年11月20日
Published Date 2021/11/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27908803
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門脈圧亢進を伴う肝硬変の病態生理は,①肝内循環(肝内抵抗の上昇),②全身循環(全身内臓系循環亢進状態),③側副路循環〔側副血行路の発達〕,の3因子で規定される.肝硬変の血行動態はきわめて特徴的で,生理的代償機構によって発達した門脈-大循環シャント(PSS)が,その病態悪化をもたらす根源にもなりえる.経カテーテル的PSS閉塞術であるバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)が,胃静脈瘤や肝性脳症のみならず肝予備能や生命予後の改善にも寄与しえることがすでに報告されており,それに加えてBRTOによる門脈血流量の有意な増加に伴って,代表的肝線維化マーカーであるMac-2結合タンパク糖鎖修飾異性体(M2BPGi)が有意に低下することを今回筆者らは見出した.本稿では,肝硬変とくに門脈圧亢進症特有の血行動態を解説し,BRTOによる門脈系血行動態の改変が肝線維化改善をもたらす可能性について文献的考察を含めて概説する.
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