Japanese
English
TOPICS 病理学
病理組織診断で活用される深層学習
Deep learning in diagnostic pathology
坂無 英徳
1
Hidenori SAKANASHI
1
1国立研究開発法人産業技術総合研究所 人工知能研究センター 機械学習機構研究チーム
pp.485-486
発行日 2021年5月8日
Published Date 2021/5/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27706485
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深層学習とは人工知能(AI)技術のひとつであり,“多くの層を持ったニューラルネットワークモデルを用いた機械学習の総称” である1).AIの研究開発で標準的に用いられているImageNetという画像のデータセット(1,400万枚を超える膨大な数の写真画像が2万以上のクラスに分類されている)の一部を利用した大規模画像認識コンペティション(ILSVRC)において,2012年にHintonらのチームによる深層学習手法が従来法に大差をつけて優勝したこと2)を契機として,国内外のさまざまな分野において爆発的に利用が広まっている3).医療分野でも,医師の代わりに眼底画像から糖尿病性網膜症を自動判定するシステムIDx-DRが米国FDAにおいて医療機器として承認されたほか,内視鏡やMRI,CT画像などから病変部位の自動検出や定量評価を行うAI医療機器が国内外で実用化され始め4),この流れは病理診断分野にも及んでいる.PubMedにおいて,病理AIに関する文献数が2012年頃から加速度的に増加していることからも,このことは明らかである(図1).病理診断分野における深層学習技術の応用に関しては,腺や上皮,核などの構造物および組織の自動抽出,核分裂像の検出および計数,標本ごとにばらつきのある染色状態の平準化,類似症例検索や遺伝子変異予測,悪性度の分類や予後予測など,さまざまな研究が実施されている5,6).
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