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特集 免疫チェックポイント阻害薬のirAE(免疫関連有害事象)
はじめに
Introduction
北野 滋久
1
Shigehisa KITANO
1
1がん研究会有明病院先端医療開発センターがん免疫治療開発部
pp.755-755
発行日 2021年2月20日
Published Date 2021/2/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27608755
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- Abstract 文献概要
近年,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の臨床開発が成功し,多数のがん腫に対して適応の拡大が順調に進んでおり,がんに対する標準的な治療のひとつとなった.ICI療法は,がん抗原を認識して活性化されたT細胞に発現してくる補助抑制受容体(ブレーキ分子)である免疫チェックポイント分子を抗体でブロックして阻害することによって,がん抗原特異的なT細胞の活性化を持続させることにより,がんを制御する治療である.ICI特有の有害事象として,免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)が出現する.irAEは発生の段階で自己抗原特異的(自己の細胞・組織を認識する)リンパ球が除去(clonal deletion)されずに体内に残存しているとICIによってこれらのリンパ球が誤って活性化されてしまい自己細胞・組織を攻撃してしまうことが主な作用機序であると考えられている.その特徴として,それぞれの有害事象は頻度が低いものがほとんどであるが,前述の理由から全身多岐にわたり出現すること,その発現時期を予測することが難しいこと,ときに適切な対応や対処の遅れが致命的となることもありうることがあげられ,そのマネジメントにあたっては注意が必要である.
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