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特集 難聴の治療――再生医療から人工聴覚器まで
中耳粘膜再生を併用した鼓室形成術
Tympanoplasty with middle ear mucosa regeneration
森野 常太郎
1
Tsunetaro MORINO
1
1東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室
キーワード:
真珠腫性中耳炎
,
癒着性中耳炎
,
培養鼻腔粘膜上皮細胞シート
,
ヒト臨床研究
Keyword:
真珠腫性中耳炎
,
癒着性中耳炎
,
培養鼻腔粘膜上皮細胞シート
,
ヒト臨床研究
pp.683-688
発行日 2021年2月13日
Published Date 2021/2/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27607683
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鼓室形成術により中耳粘膜が広範囲に欠損してしまった場合,病態の再燃や手術後の聴力成績に影響が生じる.これまで,中耳粘膜を修復させるためにさまざまな治療法が試みられてきたが,いまだ確立した治療法は存在せず,治療成績の劇的な向上を望めないのが現状である.筆者らは,難治性中耳疾患の根治的治療および手術後のQOLの改善をめざして,手術により欠損した中耳粘膜を即時に再生させる中耳粘膜再生治療の研究開発を行ってきた.基礎研究を経て,自己の鼻腔粘膜を細胞ソースとした培養鼻腔粘膜上皮細胞シートを患者本人に移植する新規治療法を開発した.真珠腫性中耳炎患者9例と癒着性中耳炎患者6例に対してヒト臨床試験を実施し,全例において設定された品質管理基準を満たす細胞シートの作製に成功し,自粘膜組織採取から細胞シート移植に至るまで有害事象はなく,さらに術後経過も良好である.現在,本再生医療等製品の製品化に向けた準備を進めており,近い将来,医師主導治験を控えている.
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