慢性多形痒疹の6例

Six cases of prurigo chronica multiformis

・慢性多形痒疹は高齢者に好発する痒みの強い蕁麻疹様丘疹で始まり，やがて常色ないし褐色の硬く触れる充実性丘疹が孤立性または融合・集簇・密生し，苔癬化する臨床的特徴を有し，搔破により周囲に膨疹ないし蕁麻疹様紅斑を生じることがある．

・慢性多形痒疹の組織像の特徴は表皮の増殖性変化を欠く真皮のリンパ球，好酸球浸潤を特徴とする虫刺症型反応が多いが，表皮の湿疹反応の合併や蕁麻疹型反応，pseudo-Pautrier abscessを有する偽リンパ腫型もある．

・一部の慢性多形痒疹は皮膚描記症陽性で蕁麻疹様皮膚炎との鑑別，環状紅斑を伴い遠心性環状紅斑との鑑別が必要な場合もあり，慢性から亜急性痒疹として捉えた．

（「症例のポイント」より）