案件から学ぶ医療事故の対策と問題点
指ブロック麻酔による指壊死・切断
向井 秀樹
1
1東邦大学医療センター大橋病院
pp.838-839
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000003029
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・70歳代男性.数カ月前より右第II指背側の皮内腫瘤に気づく.自覚症状はなし.8mm大で,ドーム状に隆起し皮表は正常色,やや弾性硬の腫瘤を主訴に来院.術前検査と手術同意書あり.
・指ブロック麻酔を,基節部基部の指間部より行う.キシロカイン1%エピネフリン含有局所麻酔薬5mLを使用する.加えて,右第II指基節骨中央あたりで駆血する.皮膚切開時に血管腫はみられず,ガングリオンと診断し伸筋腱膜上で切除する.術後は消毒したのちシーネで固定する.
・術後翌日の中節部~末梢の色調は悪く,水疱を形成.その後,抗菌外用薬を用いて外来で経過を観察する.次第に中節部~末梢の色調は暗赤色調を増して,褐色調の皮膚壊死を部分的に認めるようになる.
・術後2週目,全周性の血流障害が明らかとなり,上級施設の形成外科に紹介状を出す.
・上級施設の形成外科を受診.サーモグラフィーやCT angiography(コンピュータ断層血管造影)にて,血流途絶を確認する.手術で右第II指基節骨より上方を切断する.
(「経過」より)
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