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●単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)は普遍的に存在するウイルスだが,正確な診断はむずかしい場合がある.DNA増幅法で単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1),2型(HSV-2)のDNAを検出することで確定診断が可能である.
●臨床的に単純ヘルペス(herpes simplex:HS)が疑われた総検体数703(皮疹部353)のうち,loop-mediated isothermal amplification(LAMP法)でHSVのDNAを検出した.病変部からHSV-1陽性は113例(32.0%),HSV-2陽性は47例(13.3%)で,HSV-1は顔面や口唇から,HSV-2は性器から多く検出された.
●蛍光抗体法による抗原検査はDNA陽性例の約半数で陽性であった.偽陽性(LAMP法陰性,抗原検査陽性)例はなかった.一方,血清学的には補体結合反応(CF)では抗体価は16倍(46.2%)を中心に正規分布したがDNAが陽性にもかかわらずCFが陰性の例が13.5%みられ,CF法は既往のスクリーニングとして不適当であることが示された.一方,HSV-IgGではHSV DNA陽性例は初感染早期を除いて全例陽性であった.
●以上の結果から,現行の蛍光抗体法による抗原検査の特異度は高いが感度は低く,痂皮などではなく水疱からの検体採取が重要と考えられた.一方,血清学的にはHSV-CFは偽陰性があり既往の特定にはIgGを測定すべきであると考えられた.
●単純ヘルペス病変がある際でも同時に頰粘膜からHSVが排出されていることはまれで,頰粘膜陽性例(3.7%)のほとんどが悪性腫瘍などの基礎疾患を合併するか免疫抑制の状態であった.HSV感染症が疑われ,かつ免疫抑制状態の患者を診察するときは無症候性排泄があることを認識すべきである.
(「ポイント」より)
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