案件から学ぶ医療事故の対策と問題点
帯状疱疹治療薬の過量投与によるアシクロビル脳症を生じた例
向井 秀樹
1
1東邦大学医学部
pp.1056-1057
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002664
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・80歳代男性.3日前から左胸背部に痛みを伴う小水疱に気づく.近医の皮膚科を受診し,帯状疱疹と診断される.バラシクロビル(500mg)を6錠,分3で5日間とビダラビン軟膏を処方される.
・3日後,デイサービスに行ったものの,普段より意識レベルが不良ということで,市中病院へ紹介入院となる.意識レベルはJCS(Japan coma scale)-III相当で,痛み刺激に反応が乏しい昏睡状態である.CT上,急性期の脳梗塞像はなく,意識レベル低下の器質的変化はない.アシクロビル脳症と診断.
・退院時の意識レベルは,JCS-II相当で,刺激に応じて一時的に覚醒する程度である.
・自宅での療養継続は不可能であり,後方支援病院に転院.
・その後,声かけ反応に発声するが昼間は傾眠傾向であり,開眼するも視線は合わない.
(「経過」より)
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