特集 環境と皮膚(光線も含む)
Editor's eye
馬場 直子
pp.587-587
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002536
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今回は,日常の生活環境の中から皮膚が受ける,さまざまな有害事象としての皮膚疾患を取り上げてみた.環境の中の有害事象は日光をはじめ,大気や土壌,海水,動物,昆虫,細菌,微生物など,非常に多岐にわたる.こうして集めてみるとわれわれの身の周りのあらゆるところに皮膚に障害を与えるものが潜んでいて,その原因や病態を一つ一つ丁寧に紐解き解決していくことのむずかしさと面白さを知りえた.
まず「Topics」では,幼児期に発症した日光蕁麻疹の姉妹例を供覧しながら,どのようにして日光蕁麻疹を疑い検査していくべきかを解説していただき,光線が関与する皮膚疾患の分類と鑑別点をまとめていただいたことは非常に勉強になった.「研究」では,浸潤性有棘細胞癌に進展しやすい日光角化症の病理組織学的高リスク所見を4つあげられ,AKの病理組織をみるときにどこに注目すれば将来SCCに進展しやすいと考えるべきかが明確となった.さらに,切除する際にマージンをどのくらい取るべきかなどは,より適切な治療方針を立てることにつながり,極めて有用であると思われた.
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