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膠原病のうち18歳未満で発症する小児膠原病は,多い順に若年性特発性関節炎,全身性エリテマトーデス(SLE),皮膚筋炎,強皮症,Sjögren症候群があげられる.全年齢の膠原病の中で決して多いとはいえないが10%前後はみられ,小児期発症例は成人発症と比べて症状,予後,併発疾患,治療法などにおいて異なり,小児ならではの特徴的な点が多々ある.本特集では小児の膠原病の臨床的な特徴を改めて整理し直し,推奨されている治療法についての知識をリニューアルしたいと思い企画した.また,皮膚科領域では小児の膠原病の長期経過を追った症例報告は非常に少ないが,皮膚科医としてぜひ知っておくべき点であり,編集委員の山本俊幸先生に小児膠原病のnatural courseについて展望していただいた.われわれが疾患のクロノロジーを理解しておくことは,患者家族の将来に対する不安や悩み相談に答えるためにも非常に重要と思われる.
「Topics」および「治療」では代表的な小児膠原病のスペシャリストに最新の知見をアップデートしていただいた.小児期発症SLE,若年性皮膚筋炎(JDM)では,いずれも成人例にはない小児特有の症状があり,治療においてはステロイドによる成長障害などの副作用を考慮する必要があることは肝に銘じなければならない.小児の全身性強皮症には,早期に急速に進行するタイプと,慢性に経過し成人よりも予後がよいタイプの2種類あるが,後者であっても長期予後は決してよくないこと,また限局性強皮症では再発や他の膠原病や自己免疫疾患合併例が多いこと,さらに成長障害など小児期特有の合併症に注意が必要なことなどフォローしていくうえでのポイントがよくわかる.小児期のSjögren症候群では,乾燥症状は訴えず,皮疹や発熱,関節症状などの腺外症状が主体であり,経過中にさまざまな腺外臓器障害をおこしうるので注意が必要とのことである.また,新生児ループスから母親のサブクリニカルなSjögren症候群が初めてみつかることもあり,皮膚科医は知っておかなければならない症状である.
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