特集 好酸球が関与する皮膚病
Editor's eye
向井 秀樹
pp.497-497
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002508
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病原性微生物や寄生虫に対して,好酸球は生体側に防御的な作用を有しているが,アレルギー性疾患などでは逆に組織障害や痒みの原因になる.好酸球は正常皮膚には存在しない.病理組織像にて好酸球浸潤像がみられると,重要な所見として最終診断に役立つことがある.
“好酸球と痒み”という端本宇志先生の論文から目を通していただきたい.好酸球は肥満細胞からヒスタミンを放出する.アトピー性皮膚炎の病態に関与している炎症性サイトカインIL-4やIL-13,慢性蕁麻疹に関与する脂質メディエーターPAF(platelet-activating factor)も好酸球が放出している.好酸球浸潤を伴う多数の瘙痒性疾患が列挙され,好酸球の生体への影響を垣間見られる.蕁麻疹の初期治療に抵抗性の症例について,非鎮静性抗ヒスタミン薬の選択や増量の実際,さらに難治性の特発性蕁麻疹に対する抗IgE抗体の投与タイミングなどは,谷崎英昭先生の論文を参考にしていただきたい.慢性蕁麻疹の治療を円滑にするためには,患者を治療現場に参入させることが重要である.私は日常診療で慢性蕁麻疹の評価ツールUCT(urticaria control test)を導入して,治療のコンプライアンスやアドヒアランスの向上に役立てている.是非とも診療現場で活用をしていただきたい.
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