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4月号なので,新しく皮膚科に入られた医師や,若手医師に役立つ編集を意識した.似た疾患を取り上げる形でピックアップした結果,必ずしもありふれた疾患ではなくなった.
接触皮膚炎症候群,全身性接触皮膚炎に関しては,1月号でも臨床例が掲載された.接触皮膚炎症候群は自家感作性皮膚炎と似た概念で,autosensitizationをおこす原因の1つに接触皮膚炎があると理解している.PubMedに横文字を入れてみるとcontact dermatitis syndromeはあまり使われていないようである.自家感作性皮膚炎という病名は生き長らえるのかと,本誌で昔,西岡清先生が書いておられたが,最近の論文でも使われていた(JAAD Case Rep 5:410,2019).硬化性(萎縮性)苔癬の好発部位は女性の外陰部だが,男性には少ない.一方,扁平苔癬が女性の外陰部に生じることは,男性に比較すると少ない.性別によって外陰部発生の頻度に違いが見られる疾患はほかにもあり,たとえばangiokeratomaやverruciform xanthomaは男性に多い.サルコイドーシスの特異疹の1つに結節性紅斑様皮疹がある.本邦人に多く,このタイプの皮疹は自然消退する.一方,結節性紅斑は非特異疹の代表であるが本邦患者にみられることは少ない.ちなみに,サルコイドーシスの非特異疹で結節性紅斑以外のものを聞かれたら,何を思い浮かべるだろうか? 皮膚筋炎や乾癬でも脂漏部位に紅斑はみられ,脂漏性皮膚炎様紅斑とか,脂漏性乾癬とかと呼ばれる.乾癬と皮膚筋炎の合併は非常にまれだが,仮に両者を合併した患者の鼻翼に淡い紅斑がみられたら,どちらによって出た症状なのかの区別はむずかしいと思う.肛囲に生じたPaget病と直腸がんの皮膚浸潤(Paget現象,Pagetoid spread,secondary Paget)との鑑別には,CK7,CK20染色がよく知られているが,最近用いられるCDX2,GCDFP-15なども詳しく記載していただいた.成人の褐色調皮内硬結をみた場合,mastocytosisやplasmacytosisを思い浮かべる必要がある.前者は成人と小児での病態の違いを知る必要があるし,後者はIgG4関連疾患との異同などが最近の話題である.凍瘡で爪の脱落がおきることがあるが,詳しい検討はされていない.
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