皮膚科医学史
古文書と暴瀉病(三右衛門日記) その3
服部 瑛
1
1医療法人はっとり皮膚科医院
pp.250-254
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000001975
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前回(41巻2号 P.182)は,幕末流行した暴瀉病(コレラ)の全国的な広がりに注目した.それは,全国に蔓延して数十万人にも及ぶ大災害だった可能性が高い1,2).今回は,その広がりの中から一点の地域を捉えて,当時の人たちは暴瀉病にどう対処したかを追ってみたい.
高崎の隣町に中山道の宿場町玉村宿がある.そこでも暴瀉病騒ぎがあった.そこに住む渡辺三右衛門という人物が,暴瀉病を克明に日記に書きとどめた(図1).日記を読むと,当時の混乱と未知の病を恐れるさまがありのままに迫ってくる.さらに幕末の医療の実態も浮かび上がってくる.当時の医療は,蒙昧として稚拙というしかない.しかしすべての先人が通らざるを得なかった歩みの一端を知るよい機会ともなる.
(「はじめに」より)
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