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掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis:PPP)は乾癬と多くの類似性を有するが,乾癬に比較すると治療の選択肢は少なく,たとえば外用薬を塗布しても効果は乏しい.しかし乾癬の治療法が近年飛躍的に進歩してきたのに伴い,徐々にではあるがPPPに対する治療選択肢も増えつつある.乾癬の治療薬をPPPに使う場面もあるが,保険適用がないものも少なからずある.これから述べる治療法の中には,保険適用がないものもいくつも含まれていることを断っておく. PPPが乾癬と異なる大きな点は,病巣感染との関連が強いことである.したがって,病巣感染に対する治療が根治的な治療になるが,それ以外はすべて対症療法にすぎない.逆にいうと,PPPは乾癬と異なり根治的な治療が可能な疾患であるともいえ,そこを目指すことが望まれる.しかしそうはいっても,一筋縄でいかないケースも多々あり,次の手が待たれていた. 筆者がこれまでPPPを多くみることができたのは,以前所属していた大学病院に歯学部附属病院があり,そこに歯科金属アレルギーでマスコミにしばしば登場する先生がいた.歯科金属と関連する代表的な疾患として掌蹠膿疱症が取り上げられ,大勢の患者が歯科に押し寄せた.金属パッチテストの依頼が皮膚科に多数あり,当時初診は2つのブースに分かれていたが,片方でも1日2〜3人の新患患者をみることができた.もちろんパッチテストは施行するのだが,われわれは病巣感染説の立場だったので,患者さんに説明し,そこから耳鼻咽喉科に紹介状を書いていた. 筆者は最近,本邦PPP患者の臨床的な特徴と,本症の治療についての総説を書いた1).本稿ではPPPの治療の進歩と課題に焦点を当て,私見を交えて概説する.(「はじめに」より)
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