図譜
皮膚症状が出る小児感染症
馬場 直子
1
1神奈川県立こども医療センター皮膚科
pp.1256-1263
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000000657
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筆者の在籍する小児病院では,白血病や小児癌で化学療法などによる免疫抑制状態の患児も多く,皮膚に感染症が疑われるような発疹がある患児がいると大騒ぎとなり,すぐさま皮膚科併診となる.小児にみられるウイルス性皮膚疾患では,伝染性軟属腫,単純ヘルペスや帯状疱疹,Kaposi水痘様発疹症の頻度が高く,急性発疹症として現れるのは,手足口病,伝染性紅斑,突発性発疹,水痘,麻疹,風疹などである.これらの感染性疾患を,できるかぎり皮疹の形態と分布,発熱との関係,随伴症状などから,検査結果をみる前に診断することが皮膚科医の存在意義であり,感染の拡大を防ぐために観察力が求められる. 外来でみることの多い感染性皮膚疾患は,細菌感染症でもっとも多いのが伝染性膿痂疹,真菌感染症で多いのは,カンジダ症,白癬,癜風で,また頭ジラミや疥癬もしばしばみられる. 小児の感染症に関しては学校での感染が拡がることで多くの児童を巻き込み,学校教育に支障をきたす可能性があることから,学校保健安全法が施行されている.いずれも直接接触によって感染しやすい疾患であるため,診断をつけたら治療とともに,家族や他の子どもにうつさないような対策や,保護者や保育士への注意喚起が必要である.(冒頭より)
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