腋窩に生じた外毛根鞘性嚢腫

＜症例のポイント＞･自験例は発生部位として過去に本邦報告例がみられない、腋窩に生じた外毛根鞘性嚢腫(trichilemmal cyst)である。･病変の色調が暗赤色調であることに着目し、自験16例の色調を検討したところ、頭部･顔面発生例は常色ないしは淡紅色調、腋窩を含む体幹発生例は暗赤色調、四肢発生例は青色調の傾向があり、部位により色調が異なる可能性が示唆された。その原因として、内容物の組成が発生部位によりやや異なる可能性を考えた。･自験16例の病理組織学的検討により、嚢腫内の石灰沈着およびコレステリン裂隙が従来の本邦報告例に比してより高頻度でみられる可能性が示唆された。また、精緻な超音波装置の出現により、嚢腫内の石灰化の明瞭な描出が可能となり、本症の術前診断がより容易となる可能性を指摘した。