総説
インフォームド・コンセントの法的要件
丸山 英二
1
1慶応義塾大学 大学院健康マネジメント研究科
キーワード:
インフォームドコンセント
,
法的責任
,
医事紛争
,
同意
Keyword:
Informed Consent
,
Liability, Legal
,
Consensus
pp.234-240
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2018202417
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医療行為を実施する際には,あらかじめ患者の同意を得なければならず(同意要件),その同意を得る前提として当該医療行為について適切な説明をしなければならない(説明要件)というインフォームド・コンセント(informed consent,以下,IC)の要件は,一方でおこりうる主要な合併症・副作用を漏れなく説明すると患者を不安に落とし入れ,身体的にも悪影響を及ぼす可能性があるが,他方で発生の可能性を認識できた合併症・副作用についてあらかじめ説明しておかなければ,そのリスクが具体化したときに医師(広くは他の職種も含めた医療従事者であるが,以下では「医師」と表記する)や医療機関が責任を問われる可能性があるという,その実践のむずかしさにもかかわらず,またその要件を直接定めた法律の規定がないにもかかわらず,すでに確立されたものになっている.ICの要件を満たさずに医療行為を行うと,たとえそれが過失なく行われた場合,あるいは身体的損害が生じなかった場合であっても損害賠償責任に問われる.また説明が十分でなく説明義務違反があったとされる場合には,説明が正しくなされたときにも患者は医療行為を受けたであろうとされる場合であっても医師や医療機関は責任を問われる.(「はしがき」より)
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