特集 医療的ケア児支援と在宅医療
てんかん専門医からみたトランジションとオンライン診療
松浦 隆樹
1
,
浜野 晋一郎
1
Ryuki Matsuura
1
,
Shin-ichiro Hamano
1
1埼玉県立小児医療センター神経科
pp.464-467
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000118
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Ⅰ.てんかん専門医からみたトランジション
移行(トランジション)とは,若年者が成人ケアに移るための準備過程である1)。これは疾患,症状,治療,管理法を学ぶことであり,いつ,どのように支援を求め,成人生活で生じる問題を最小限にする方法を身につけることを目的としている。わが国の小児期発症てんかんの患者数は13歳未満の小児1,000人あたり8.8人と報告され2),小児発症てんかんの50%は成人期も治療が必要とされる3)。これらのてんかん患者はてんかん発作以外に知的障害や他の合併症をもつことが多い。小児期発症てんかん患者の治療が長期化する場合,中学校卒業後から成人医療機関への移行の対象となる。しかし小児期発症てんかん患者が成人医療機関に移行するに際して,患者,家族,小児科医,成人科医それぞれがもつ問題のために,円滑に移行が行えないことがしばしば経験される。
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