特集 On-the-Job Trainingのコツ―後輩にどう教える?
How-Where(OJTを促進する方法)
研修環境の最適化―学習者のWellnessとOwnership
中尾 寛
1,2
NAKAO Hiro
1,2
1国立成育医療研究センター総合診療部
2国立成育医療研究センター教育研修センター
pp.1133-1136
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002549
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はじめに―研修環境の変化
医師の研修環境は大きく変化した。数十年前は,早朝から深夜まで院内を走り回り,何日も帰宅しない(できない)研修医も多く,早いうちから重症症例を自ら担当し,スーパーバイズもほとんどなく,過酷な研修生活で追い込まれながらなんとか生き残るのが,研修医の姿であった。今の医療環境ではそういう研修は許されないであろう。余談になるが,分野によってはまだ過酷なトレーニングが残っているようである。たとえば相撲力士のインタビューをみると,早朝からきつい稽古で追い込まれ,体力もなくなり,朦朧としてきた土俵の上で,最後の最後の力を振り絞るのが稽古というものだ,と話していた。いまの医療をとりまく社会状況を見渡すと,それに類する研修環境を懐かしがっているようでは時代についてきていない,ということになるし,研修者の健康Wellnessを守ること,ひいては医療の質や医療安全を守ることもままならないだろう。

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