第45回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/横浜 《シンポジウム》高齢化社会におけるQOL向上の方策―地域連携システムの構築に果すリハビリテーションの役割―座長/畑野 栄治・水間 正澄
IT(情報技術)を利用したe-wellnessによる地域介護予防システムの成果と課題
久野 譜也
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1筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻
pp.275-281
発行日 2009年5月18日
Published Date 2009/5/18
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健康努力する人を応援する社会の成立を目指して
現代日本人の健康状態の悪化の主因は,運動不足,食べすぎ及び喫煙など健康に対するモラルハザードといえよう.健康を,一人ひとりの課題とのみ位置づけてしまうと,個人の生き方及び考え方の問題となってしまい,社会全体における健康度の改善は,現実的には難しくなるであろう.そうすると,今後10年以内においてわが国の社会保障制度や労働力の維持に対してマイナスの影響を与えることは避けられないと考えられる.したがって,健康は個人の問題であると同時に社会の課題であると明確に位置づけ,まさしく今その対策をスタートさせなければならない時期であると考えられる.
この健康に対するモラルハザードな社会風潮を打ち破る1つとして,我々は「健康に対する努力を応援する社会システム」の構築が必要であると考える.とくに,運動については,その必要性は理解されていても行動に移すことは難しいことはよく知られている事実である.そのため,これまでのように個人が自ら変化することを期待して個人に対する健康教育を行うのみではなく,望ましい健康行動を起こしやすくなる社会制度の確立が必要となろう.それゆえ,多くの国民がより望ましい健康行動を開始するためには,社会(自治体や企業など)と個人の双方にインセンティブが成立する社会制度や民間の支援システムが必要かもしれない.そのための基本概念を表1にまとめた.
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