特集 入門! アタッチメントと小児期逆境体験を知る
アタッチメント障害や小児期逆境体験を巡る最近のトピックス
大人のアタッチメントスタイルとボンディング―育児に及ぼす影響を中心に
笠原 麻里
1
KASAHARA Mari
1
1駒木野病院
pp.953-955
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002487
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はじめに
本特集でここまで述べられてきたように,アタッチメント障害は子どもに診断されるもので,一般に大人の精神医学的診断には用いられない。しかし,大人になって,自身のアタッチメントスタイルの特性から,対人関係や社会的活動における不安や困難を抱える人はいる。一方,反応性アタッチメント障害(reactive attachment disorder)や脱抑制型対人交流障害(disinhibited social engagement disorder)と診断された人の予後に関する知見はまだ多くないが,背景に被虐待体験が関与することから,心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder:PTSD)や複雑性心的外傷後ストレス障害(complex-PTSD:C-PTSD),うつ病を発症したり,成人後の病理としてパーソナリティ障害などを有することもある。

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