特集 アトピー性皮膚炎―新旧治療のベストバランス
総論 ここまでわかったアトピー性皮膚炎の機序 アトピー性皮膚炎の三位一体論
痒み―メカニズム,アトピー性皮膚炎の痒みの特徴,搔破による悪循環
室田 浩之
1
MUROTA Hiroyuki
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学
pp.41-45
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002201
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はじめに
アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)は,増悪と寛解をくり返しながら,強い痒みを伴う湿疹を主病変とする疾患である。皮疹は年齢ごとに特徴的な分布を示すが,一貫して痒みが先行し,それが皮疹の形成を促す。この痒みは,素因性,炎症性,環境的要因,さらには心因性・心理的因子など,多因子によりひき起こされ,そのメカニズムは非常に複雑である。そのため,悪化因子への曝露により皮膚炎が増悪・再燃し,慢性的な臨床経過をたどることが多い。さらに,慢性的な搔破は組織リモデリングをひき起こし,皮疹を難治化させる要因となる。
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