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特集 小児臨床検査2024
XIII.感染症検査
3.細菌感染症 7)レジオネラ感染症
Legionnaires’ disease
中野 沙季
1
Saki Nakano
1
1日本私立学校振興・共済事業団東京臨海病院小児科
キーワード:
レジオネラ
,
尿中抗原
,
LAMP法
,
肺炎
Keyword:
レジオネラ
,
尿中抗原
,
LAMP法
,
肺炎
pp.614-616
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002020
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はじめに
レジオネラ症はレジオネラ属菌が原因で起こる感染症である。レジオネラ属菌は60種以上存在し,そのうち約30種がヒトへの病原性が示唆されている。レジオネラ症の主要な起因菌であるLegionella pneumophilaは,少なくとも16の血清群を有し,とくに血清群1の分離頻度が多い1)。主な病型は,インフルエンザ様の症状を呈し自然軽快するポンティアック熱(潜伏期:約36時間)と,進行が早く重篤な経過をとるレジオネラ肺炎(潜伏期:2~10日)に分類される。レジオネラ属菌は,河川や土壌などの自然環境や,循環式浴槽水や加湿器などの人工的な温水中に生息するアメーバなどの細胞内で増殖し,これらの環境から発生したエアロゾルを介してヒトに感染する。ヒト→ヒト感染はしない。日本国内では,温泉・入浴施設での集団発生事例が多いが,散発例もみられる1)。レジオネラ症は,4類感染症全数把握疾患に定められており,2018年以降は毎年2,000件を超える報告があり,そのほとんどが50代以上である2)。小児の報告はまれであるが,重症肺炎の診断において鑑別からもれないように注意が必要である。
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