特集 完全把握をめざす小児の心疾患
先天性心疾患(各論)
純型肺動脈閉鎖症・重症肺動脈弁狭窄症
藤井 隆成
1
FUJII Takanari
1
1昭和大学病院小児循環器・成人先天性心疾患センター
pp.555-557
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001607
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疾患の概念
純型肺動脈閉鎖(心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖)は右室流出路の完全閉鎖を特徴とし,さまざまな程度の右室,三尖弁の低形成と,冠動脈の異常を伴う疾患群である。発生頻度は出生10000人に対して0.6人程度であり1),染色体または遺伝子に変化を伴う症候群との関連は少ない。肺循環への右室経由の順行性血流はなく,心房間交通,動脈管が生存に必須の血行動態を呈する(図)。形態異常の程度がさまざまであり,カテーテル治療のみで治療を完結できる症例から,Fontan手術を目指す必要がある症例まで,行われる治療の選択肢も幅広い。重症肺動脈弁狭窄は同一のスペクトラムの疾患群であるが,右室,三尖弁の低形成の程度は一般に軽度で,冠動脈の異常は伴わない。双胎間輸血症候群の受血児の一部で重症肺動脈弁狭窄や機能的肺動脈閉鎖を生じることが知られており,本症と共通の血行動態を生じる2)。以下,純型肺動脈閉鎖に関して述べる。
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