特集 小児内分泌を楽しく学ぼう
内分泌疾患の多様さと面白さ
浦上 達彦
1
URAKAMI Tatsuhiko
1
1浦上小児内分泌・糖尿病クリニック
pp.165-166
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001503
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内分泌系は,生体の恒常性(ホメオスタシス)を維持するための調節機構である。ホメオスタシスを維持するため,つまりアクセルとブレーキに相当するホルモンを巧妙に使い分けるために,上位ホルモン-下位ホルモンの調節機構が構築されている。この制御の破綻により,ホルモン作用の不足(機能低下)とホルモン作用の過剰(機能亢進)が起こる1)。内分泌臓器には,視床下部・下垂体,甲状腺,副腎,性腺,副甲状腺などがあるが,これらの臓器,調節機構の障害に加えて,肥満ややせ,糖代謝,脂質代謝,水・電解質の異常も内分泌疾患に含まれる。このような多彩な病態に加えて,その病態に関与する遺伝子やホルモン合成代謝経路の複雑さが,“内分泌疾患は理解するのに難しい” と思われ,学ぶことを敬遠する一因になっているのであろう。しかし内分泌疾患の病態を理解し,その原因にたどり着くことは,いかなる推理小説を解読するより興味深く,またその原因を突き詰めることは,治療の選択に直接つながる。
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