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小児科医のキャリアアップ
小児科医としてキャリアアップは,医師免許取得(ステップ1),初期臨床研修(ステップ2),小児科専門研修(ステップ3),サブスペシャルティ研修(ステップ4)の4つのステップに分かれている(図1)。どのステップも重要ではあるものの,とくにステップ3は小児科医として方向性を定めるうえで果たす役割が大きい。小児科専門研修を行う3年間で,小児科医としての標準的な診療能力を身につけ,さらに新しい知識や技術を学び,専門性の高い小児医療を提供できる基盤をつくる必要がある。現在,小児科専門研修は,日本専門医機構が認定している小児科新専門医制度(機構認定専門医制度)に則って行うことが義務づけられている。小児科研修プログラムでは,いずれの施設のものも原則として最低3年間の研修期間が定められている。小児科専門研修を終えて,医師免許取得5年後に小児科専門医を取得し,6年目からはステップ4に進み,サブスペシャルティの研修を開始する。この時期に大学院に進学し,サブスペシャルティ領域に関するより深い知識や科学的なものの考え方を身につけることも可能である。小児科はこどもの総合医ではあるものの,高度に専門化した小児医療を実践するためには,サブスペシャルティの研修を行い,サブスペシャルティ専門医を取得する必要がある。さらには大学院進学やそれに続く留学は,小児科医としてのキャリアアップには重要なステップとなる。小児科専門医を取得した後に,さらに深いサブスペシャリティ領域の研修を行い,また可能であれば大学院に進学して,研究の道を一時歩むのは,医師としての成長を促し,視野も各段に広がるので,個人的にはお勧めしたい。しかし,小児科医として重要なステップ3やステップ4の時期は,結婚,出産,育児あるいは介護といったライフイベントの時期としても重要な時期であり,いかにワークライフバランスを充実させるかが課題である。ワークライフバランスを促進したり,働き方改革を実践させることが,小児科医としてのキャリアアップの妨げにならない社会としての制度作りが肝要と思われる。
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