Japanese
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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
B.感染症
ムンプス
mumps
後藤 研誠
1
Kensei Gotoh
1
1江南厚生病院こども医療センター
キーワード:
ムンプス
,
流行性耳下腺炎
,
ワクチン
,
髄膜炎
Keyword:
ムンプス
,
流行性耳下腺炎
,
ワクチン
,
髄膜炎
pp.293-296
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001232
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1 疾患概念
ムンプス(流行性耳下腺炎)は,パラミクソウイルス科ルブラウイルス属のムンプスウイルスによる全身性感染症であり,耳下腺のび漫性腫脹と疼痛を特徴とする疾患である。ムンプスウイルスはヒトのみを宿主とし,飛沫感染または唾液の接触感染により感染する。潜伏期間は12~24日(通常16~18日),罹患の中心は幼児期が中心で(図1)1),30%が不顕性感染の経過をとる。耳下腺炎は突然の耳下腺腫脹と疼痛で発症し,約25%は片側性である。腫脹のピークは1~3日であり,通常1週間程度で軽快する2)。ムンプスは多彩な合併症を示す(表1)3)。ムンプスウイルスは神経親和性の強いウイルスであり,無菌性髄膜炎の合併頻度が高い(1~10%)。脳炎の頻度は0.02~0.3%と低いが,死亡または後遺症を残す可能性がある。ムンプス難聴(0.01~0.5%)の多くが片側性だが時に両側性となり,高度な感音性難聴をきたし永続的な障害となる。思春期以降では精巣炎(25%),卵巣炎(5%)や乳腺炎(15~30%)の合併頻度が高くなる。妊婦が第1三半期に罹患すると,約25%に自然流産が認められるが,先天奇形との関連は認めていない2)。
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