特集 ワクチンup to date
各論
子宮頸がん(HPV)ワクチン 副反応への理解,児童精神科を含めたチームでの対応
柳生 一自
1
YAGYU Kazuyori
1
1北海道医療大学心理科学部
pp.1482-1485
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001104
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はじめに
2009年より子宮頸がん(HPV)予防ワクチン(HPVワクチン)が国内で認可され,2013年4月には小学校6年生から高校1年生までの女子に定期接種化された。しかし,同時期より疼痛,けいれん,運動障害,記憶障害など,いわゆる「多様な副反応」がマスメディアに多く紹介され,2013年6月,厚生労働省が「積極的な接種勧奨の差し控え」を宣言した。この間,HPVワクチンの接種者は激減した。その後,厚生労働省では専門家の会議においてHPVワクチンの安全性や有効性などが継続的に議論された。名古屋市の大規模な調査によって接種者と非接種者の間に多様な症状の発現に差異がないことなどが報告され1),安全性について特段の懸念が認められないことから,接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたとして,2022年4月より積極的な接種勧奨が再開された。これらの「多様な副反応」に際しては,医療側の対応によっても症状の悪化,遷延化などにつながることもある。
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