特集 小児の移植医療
同種造血細胞移植
小児の造血細胞移植実施数の変遷
藤川 朋子
1
,
長谷川 大一郎
1
FUJIKAWA Tomoko
1
,
HASEGAWA Daiichiro
1
1兵庫県立こども病院小児がん医療センター血液・腫瘍内科
pp.820-824
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000914
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はじめに
小児領域における同種造血細胞移植(HSCT)は,造血器悪性腫瘍,固形腫瘍,先天性代謝疾患,原発性免疫不全症まで幅広い疾患群に対して根治療法1)として位置づけられてきた。1974年にわが国で初めてHLA完全一致の血縁者をドナーとした骨髄移植が行われて以降,1993年より骨髄移植推進財団(現 日本骨髄バンク),1999年より臍帯血バンクを介した非血縁者間HSCTが開始され,2000年に血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植が保険適応となった。移植幹細胞源は拡大し,移植を希望する大部分の患者にドナーを確保し得る環境が整備されるようになった。技術向上の結果,近年では移植前処置の強度を軽減したreduced intensity conditioning(RIC)を用いた移植や血縁者間HLA半合致移植が登場し,HSCTはその多様性を増している。同種HSCTを経験した小児患者は,治療終了後の晩期障害やQOLに課題を抱える。小児患者に対する治療開発は,真の移植適応を探索する過程そのものであり,治療精度の向上や代替治療の出現によりHSCTの適応はくり返し問い直される。
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