特集 小児の移植医療
臓器移植
各論
小児肺移植
田中 里奈
1
,
伊達 洋至
1
TANAKA Satona
1
,
DATE Hiroshi
1
1京都大学医学部附属病院呼吸器外科
pp.811-814
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000911
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適 応
小児肺移植の適応は,内科的治療に反応しない慢性進行性肺疾患で,肺移植以外に有効な治療手段がほかになく,肺移植を行わなければ残存余命が限定されると臨床的に判断される症例で,基本的には成人と同様である。国際心肺移植学会からの肺移植適応に関するconsensus documentが参考になるが1),小児に関する記載は乏しい。本人や家族が移植医療の必要性を認識し術後ケアも含めて十分な協力体制が期待できることや,肺移植後のリハビリの必要性を理解し,かつ,そのための筋力が維持できていることも重要である。禁忌としては,コントロールできていない感染症,重篤な神経筋疾患,腎機能や肝機能などの他臓器障害,極端なるい痩や肥満,重篤な胸郭変形などが挙げられる1,2)。悪性疾患の既往のある症例は,一般的には治療終了から5年以上の無再発期間があることが望ましいとされるが,当院では再発リスクに関して個別に検討し,移植適応を判断している3)。悪性疾患の治療終了から5年未満であっても,原疾患の再発リスクが低く(30%未満),肺移植が合理的な救命手段であると小児科より評価された場合には肺移植の適応としている。
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