特集 小児の移植医療
臓器移植
各論
心移植 補助人工心臓の実際
市川 肇
1
ICHIKAWA Hajime
1
1国立循環器病研究センター小児心臓外科
pp.802-806
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000909
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はじめに
日本において小児心臓移植は2010年の改正臓器移植法施行後,制度上は可能となったものの,2023年2月現在で10歳未満および10~17歳のレシピエントに対する心臓移植がそれぞれ32例,35例行われたのみであり,極端なドナー不足による低迷が続いている。反対に移植医療に対する期待は大きく移植待機登録患者数は増加する一方である1)。このように小児ドナーの出ない状況で,安全にこの極端に長い心臓移植待機期間を過ごすためには成人のようにある程度確立された補助人工心臓治療が望まれるが,小型の埋め込み型はヨーロッパでの数例の臨床例の失敗以降開発も止まっており,現状では体格の小さい患者においては体外式左室補助人工心臓(left ventricular assist device:LVAD)を装着して入院を継続する以外に方法がない。
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