特集 新しい時代の小児感染症
各論:原因微生物別
ウイルス
アデノウイルス
西村 光司
1
NISHIMURA Koji
1
1日本大学小児科学系小児科学分野
pp.629-632
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000862
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はじめに
アデノウイルスは,咽頭結膜熱や流行性角結膜炎などの原因ウイルスとして知られている。さらに脳炎,肺炎,胃腸炎,肝炎などさまざまな病態をとることが特徴である。アデノウイルスは急性呼吸器感染症の原因として10%程度を占め,現在80種類を超える型が存在している。夏季に流行する咽頭結膜熱を除けば,明らかな季節的流行はみられず日常的にしばしば遭遇するウイルス感染症である。ほとんどの疾患が自然軽快するが,これまでにアデノウイルス7型による致死性の重症肺炎や,14型,30型などほかの型による重症肺炎,40型や41型による重症下痢症が報告されている。比較的感染力が強く,感染対策においても重要なウイルスである。
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