特集 新しい時代の小児感染症
各論:原因微生物別
細菌
百日咳菌
中村 幸嗣
1
NAKAMURA Yukitsugu
1
1聖マリアンナ医科大学小児科学教室
pp.603-605
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000856
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はじめに
百日咳菌(Bordetella pertussis)は,グラム陰性球桿菌で百日咳の主要な原因となる。百日咳菌は,外毒素であるpertussis toxin(PT),定着因子であるfilamentous hemagglutinin(FHA),pertactin(Prn)など複数の病原因子を保有している。PTは外毒素としてリンパ球増多,ヒスタミン感受性亢進などの作用があり,FHAは細胞表面に存在し,百日咳菌の気道上皮への接着を促進する1)。百日咳の病態は不明な点が多いが,PT,FHAは重要な病原因子と考えられ,無細胞百日咳ワクチンの主要抗原となっている。Prnは気道上皮への接着を促進する外膜蛋白だが,2000年代に入り欧米とわが国を中心にPrn欠損株が報告された1,2)。
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