増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法
グラム陰性桿菌
百日咳菌—Bordetella pertussis
静野 健一
1
1千葉市立海浜病院臨床検査科
pp.338-340
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208312
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Summary
百日咳菌(Bordetella pertussis)が引き起こす百日咳は,強い痙攣性の咳発作を引き起こし,乳児では重篤化するため特に注意が必要である.麻疹ウイルスと同程度の強い伝播力をもち,ワクチンの効果は永続的ではないため,成人も発症する.培養検査には専用培地を必要とし,感染初期の風邪症状を呈するカタル期に最も分離率が高く,特徴的な咳症状が続く痙咳期になると検出率は低下するが,近年,遺伝子検査の普及により報告数が増加している.類似の症状を引き起こすパラ百日咳菌(B. parapertussis)は,百日咳毒素(PT)を産生しないため,症状は百日咳よりも軽い.その他,まれであるがB. holmesiiやB. bronchisepticaなどが報告されている.なお,2018年1月より5類感染症・全数把握疾患となったため,菌の分離や遺伝子検出など要件を満たした際は7日以内の届け出が必要となる.
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