特集 小児科医が知っておくべき性の知識
各論
性分化疾患 性分化疾患の内科的治療
山野 春樹
1
,
鹿島田 健一
1
YAMANO Haruki
1
,
KASHIMADA Kenichi
1
1東京医科歯科大学発生発達病態学
pp.1701-1704
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000421
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はじめに
性分化疾患(DSD)は染色体の性,性腺の性,内外性器の性が非定型的である疾患群の総称で,さまざまな表現型を呈する1,2)。一般にDSD自体の生命予後は良好だが,身体的問題だけでなく,精神的問題や社会的問題も含めた全人的な介入が重要な疾患である。DSDの治療は選択された社会的性に応じて行われるが,多職種チームによる心理社会的配慮のもと,内科的治療に加え,必要に応じて外科的治療が行われる。内科的治療は性ホルモンの補充が中心となり,その内容は原則性腺機能低下症のそれに類似する。しかし,常に患者における心理社会的利益などを鑑みつつ,総合的観点から治療を考慮する必要があるという点で,通常の性腺機能低下症とは大きく異なる特徴をもつ。子宮をもたない社会的女性での女性ホルモンによる治療や,完全型アンドロゲン不応症(CAIS)におけるアンドロゲンを用いた補充療法など,DSD特有の内科的治療の考え方もある。一方,二次性徴期における性ホルモン補充療法が性自認に与える影響など,不明な部分も多い。
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